Kyoto DU

作品など

Ki-Pro×京都シネマ上映システム使用レポート

京都のど真ん中、四条烏丸に3スクリーンを擁する京都のアート系単館劇場として全国的にも注目度が高い京都シネマ京都シネマさんで、Ki-Proを使用していただきました。現代の大阪を舞台に、交わることのない2つのドラマが繊細に描かれる伊月肇監督による野心作『-×- マイナス・カケル・マイナス』の2週間レイトショーを、Ki-Proを運用しての映写で実施していただきました。

Ki-Pro×京都シネマ

京都シネマのシアター館内。写真はシネマ1。日々、番組の状況により適宜スクリーンの配置換えを行なう。ひとつのスクリーンでも1日に複数の番組を上映するため、映写スケジュールは緻密に組まれている。


『-×- マイナス・カケル・マイナス』はSD(720×480pix)サイズでカンパケされた作品なので、上映素材はDV-CAMかデジタルBETACAM、もしくはDVD。 今回は上映にあたって、事前にKi-Proを活用したSD→HDのアップコンバートを実施しました。元のデータファイルをPCからKi-Proに送り出し、 Ki-Proに装填したモジュール(HHD)にHDでレコーディングすることで、SDからHDへのアップコンバートを行なっています。Compressor等の編集ソフトによる圧縮を経ず、 Ki-Proにダイレクトにレコーディングすることで圧縮特有の画質の荒れを回避し、圧縮変換にかかる時間も省くことができます(ダビングのため、ランタイムのみの作業時間)。

上映にあたっては、HDにアップコンバートしたファイルを記録したモジュールとともにKi-Proを京都シネマさんの映写室に持ち込み、 既にマウントされているデジタル上映システムに組み込み。簡単に言うと、Ki-Proを映写室に常設されているDLPとシネマプロセッサーに接続して、映像と音声を出力したということです。

2週間の上映期間を経て、京都シネマスタッフの江田さんに劇場の現状とあわせて、Ki-Proの使用感をレポートいただきました。

Ki-Pro×京都シネマ

京都シネマのロビーカウンター。3スクリーンのプログラム、どれを選ぶかここで受付をおこなう。上映作品のパンフレットやグッズ等もここで販売。

Ki-Pro×京都シネマ

京都シネマロビー(エントランス)。開放感のあるロビーは出入り自由。木彫ベースのしっとりとした空間は、映画が始まるまでの待ち時間も気兼ねなく。


使用者へのインタビュー

kyotoDU:今回Ki-Proを使用されるに至った経緯をお教えください。

― シマフィルム、KyotoDUでお世話になっている田中さんからのお話がきっかけでしたが、当館もデジタル化(DCP導入)の前に、様々な可能性を検討したいと考えていますので、その一環として使用させていただきました。

kyotoDU:現状で、御劇場のデジタル上映素材はどのようなフォーマットのものが主流ですか?

― デジタル上映の場合、通常の興行作品でしたら、素材はブルーレイが主です。他に、当館は「イメージ・フォーラム・フェスティバル」「ぴあフィルム・フェスティバル」「京都国際学生映画祭」といった 多種多様なフォーマットの作品が集まるようなイベントの会場にもなっていますので、その時は、DV-CAMやミニDVでの上映も行っています。

kyotoDU:現状、デジタル上映について感じられている問題点はどんなことでしょうか。

― ブルーレイでの上映に限定してお応えします。
まず、当館のスクリーンサイズですと、画質に関しては基本的に問題は感じていません。(強いて言えば引いた絵のシーンで少し気になることはあります。 また、より解像度の高いデジタル映像と比較してみないと、何とも申せません。)
問題点は、不安定さです。これまでに、3回ほどフリーズ、スキップがありましたし、それよりやや多い頻度で音声ノイズも出ています。 そしてその場合に、原因が特定しづらい(デッキなのか、ディスクなのか、両者の相性か、または、それ以外か)。 ただし、過渡期の素材であるという認識でいますので、本格的に対策を考える(業務用機材を導入するなど)までには至っていません。

Ki-Pro×京都シネマ

京都シネマ映写室。35mmフィルム映写機の間にデジタル上映用のDLPがマウントされているのが分かる。

kyotoDU:今回、Ki-Proを実際使用されていかがでしたか?

― 画質に関しては、今回はSD画質がHD画質に変換された素材を使用でしたので、大きな違いは感じられませんでした。ただ、操作性は簡易で分かりやすかったです。 また、先に挙げた映画祭や特集上映のようなイベント等で使用できると、より性能も実感できますし、おそらく便利であろうと思いますが、 主催者側に統一したフォーマットに変換するというひと手間が加わりますので、そこをいかにクリアできるかが問題でしょう。

kyotoDU:今後、Ki-Proを再生機として使用する可能性はありますか?

― 十分使用可能だと思います。ただ、配給会社次第ということも言えますし、普段使いとなると、劇場側にも相応の知識が求められますね。

kyotoDU:劇場におけるデジタル上映のこれからについて、ご意見をおきかせください。

― 対お客さんということで考えると、まずは、劇場の信頼に影響する様な不具合の発生を抑え、いかに安定したオペレーションを可能とするかということが重要ですので、 デジタルの導入にあたり、機器メーカー、配給会社には素材の規格統合や、更なる操作の簡易性を求めたいですね。 (もちろんそれらの実現に対する大幅な設備投資を、どこまで現実的なラインまで抑えられるのかも大事ですが)

Ki-Pro×京都シネマ

今回のレポートを担当いただいた江田さん。本来は営業・宣伝のご担当ですが、映写サポート業務も兼任されています。

江田さん、ありがとうございました。文化の街・京都の映画の灯をこれからもよろしくお願いします!


【編集後記】
映画館のデジタル化は、現在国内すべての単館系劇場が急務として取り組んでいる問題です。 劇場レベルでKi-Proをデジタル映写のメイン機器として想定することは現実的ではないでしょう。 しかし、京都シネマさんのように複数のスクリーンを擁する劇場や、インディペンデント作品、長編以外の作品などを企画に応じて上映したりする機会の多い劇場もあります。 低コストで小回りがきくデジタル上映の在り方として、多種多様な状況に応じるKi-Proの活用は、検討に値するものと思われます。 また、Ki-Proシリーズも、ラック型のKi-Pro Rack、4KやQuad HDに対応したKi-Pro Quad等、ますます製品が充実してきています。

AJA 日本語サイト内Ki-Proページ(提供:ASC DCC)

これら新機種の可能性も追求していきたいですね。
ご質問、ご要望等ございましたら、KyotoDUまでお問い合わせ下さい。


担当:京都シネマ 江田さん
インタビュー:KyotoDU 田中



Ki-Pro×京都シネマ

『-×- マイナス カケル マイナス』
2008年/Digital/color/16:9/120分

★ローマ国際映画祭2011 正式出品
★第45回ワールドフェスト・ヒューストン国際映画祭 長編デビュー部門 審査員特別賞
製作・監督・脚本・編集:伊月肇 制作・脚本・音響効果:松野泉 撮影:高木風太
出演:澤田俊輔、寿美菜子、大島正華、長宗我部陽子

他人の痛みなど、ただ通り過ぎるだけなのか。2003年3月、大阪。イラク戦争開戦までの3日間を、鬱屈したタクシードライバーと14歳の女子中学生の2つの物語を通して、 偶然につながり、すれちがう人間たちの世界を静かに描く、喪失と希望の物語。何かを失ってしまった者たちの1対1の関わり。どこか遠い国で戦争が始まろうとしている。

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概要 Outline
KyotoDUでは、ASKDCCご協力の元「映画祭・上映会・ギャラリー展示」などのHD上映支援を行っています。
Ki-Pro上映ににご関心がおありの法人・団体・個人様は、お気軽にKyotoDUへお問合せください。 企画内容や使用条件等をご相談の上、ベストなスクリーニングの実現にご協力いたします。
実施内容
  • Ki-Proを使用した上映デモ
  • 上映コーディネート
対象
  • 映画祭事務局
  • イベント企画オーガナイザー
  • 施設運営者
  • 製作・配給関係者
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担当 KyotoDU 田中、唐津
協力 ASKDCC
販売代理店(関西) 株式会社 コブ
Ki-Pro×京都みなみ会館 使用レポートはこちら
Ki-Pro×神戸芸術工科大学映像表現学科上映会レポートはこちら
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